2013年、今日も何事もないティム家のリビングで家族の朝食が始まろうとしていた。
ティムと妻のメアリー、小学生のアールと祖母のジュディーが朝食のテーブルでありふれた会話をしている。
ティムは毎日仕事の帰りが遅く、妻から何かと責められてうんざりしていた。メアリーは痴呆の症状が見られるようになった義理の母ジュディーに手を焼いていた。そんな両親をアールは冷ややかな目で眺めていた。
アールが学校に行こうと玄関を出たが、蒼ざめてそこに立ち尽くした。
突然、毒ガス用マスクを付け、機関銃を装備した兵士たちが家の中へ侵入して来たのだ。
「きさま何者だ!ここで何をしている!」「この女はいつからここにいる!」「戦闘員番号は!」兵士たちの荒げた声が次々とティムに突きつけられた。
いったい何が起きたのかわからず恐怖に怯えるティムたち家族。
兵士たちは食糧を強奪すると、家族の処分は政治管制官のポリックに任せ、スネークに乗って去って行った。
入れ代わりやって来た男は政治管制官のダグラスだった。
ティムたち家族はタイムトラベラーとして未来の世界へ降り立ってしまったことをダグラスから知らされる。
痴呆が進んでいるジュディーはダグラスをすっかり亡くなった自分の夫だと思い込んでいるようだった。
2020年、七年後の世界は核戦争が勃発し、地上は放射能の危険にさらされていた。国は軍事体制が引かれ、男は兵士として戦場で戦った。女は地下工場で労役に励み、こどもは学童疎開センターで兵隊の予備軍として訓練される。そして老人は施設という名の収容所に送られた。
7年前のあの日、大規模なロボット操作ミサイルのロム攻撃があった。そのショックで時間軸が捻れてしまい、家族は家ごと未来へタイムスリップしたのだ。
それなら、もう一度ロム攻撃があった時、再び元の世界へ戻れるチャンスがあるかもしれない。
ダグラスが去ると、ここに留まるか、それとも元の世界に戻ることに賭けるか家族の選択が迫られた。
アールは両親の意に反して、この世界に残ると言い出した。学校に居場所がなかったアールはスネークに乗ってこの国の兵士になることを希望した。驚くティムとメアリーに、さらに追いうちをかけるように、アールやジュディーは夫婦の秘密を暴露する。
追い込まれた家族一人一人の本音が衝突する。「もう、家族はばらばらさ!」と叫んで家を飛び出すアール。
ティムたち一家の家族は、再び平穏な家庭の朝食を取り戻すことが出来るのだろうか・・・
ティムは息子の後を追って、戦火の煤煙が漂う、昼も夜も定かではない薄明の世界の中へ駆け出して行った。