動物農場七戒
The Seven Commandments of Animal Farm
一、いやしくも二本足で歩くものは、我々の敵である。
二、いやしくも四本足で歩くものは、我々の味方である。
三、およそ動物たるものは、衣服を身に着けないこと。
四、およそ動物たるものは、ベッドで眠らないこと。
五、およそ動物たるものは、酒を飲まないこと。
六、およそ動物たるものは、他の動物を殺害しないこと。
七、すべての動物は平等である。
Two-legged beings are our enemies.
Four-legged beings are allies and friends.
Animals shall never wear any clothes.
Animals shall never sleep in beds.
Animals shall never drink alcohol.
Animals shall never kill animals.
All animals are equal.
あらすじ
家畜として生まれた動物たちは、自らは何もせず、搾取し消費するだけの人間に憤っていた。
「人間は、ミルクも出せなければ卵も産めない。力がなくて、鋤も引けない。それなのに我々動物の上に君臨している。ミルクを出し、卵を産み、鋤を引く我々は、授かった命を全うすることさえ許されていない。」
長老豚メージャーによってその事実に気づかされた動物たちがついに立ち上がった。人間たちを追い出し、荘園農場の名を「動物農場」と変えた。自由に生きるための法律「動物農場七戒」を定め、指導者のいない動物農場で皆が責任を持って懸命に働き、収穫は大成功を収めた。皆は腹一杯食べ、とても幸せだった。
やがて、メージャーから人間の知識と学問を授けられ、農場の頭脳として働いていた3匹の賢い豚、スノーボール・ナポレオン・スクィラーの意見が割れ始めた。農場の未来を按じて風車の計画に取り掛かるスノーボールに対し、目先の収穫に拘るナポレオンとスクィラー。動物たちはその間で揺れ動きながらも、徐々にスクィラーの巧みな演説に誘導され、ついにスノーボールを人間のスパイと断定し農場から追い出してしまう。
そして、農場の指導者となったナポレオンの指揮の下、動物たちは風車の建設に取り掛かり始めた。人一倍働くボクサーや小言を言いながらも働くベンジャミンに対し、リボンや甘い砂糖を好むモリーは、動物たちの輪から離れて行く。
そんな中、かつての農場主ジョーンズが風車の計画を知ることとなる。
風車が完成しようとする頃、動物農場に人間たちが現れた。人間は風車に爆薬を詰め込み、跡形もなく壊してしまった。怒り狂い、人間に立ち向かっていく動物たちだったが、多くの犠牲を生んでしまう。
やるせなく悲嘆する動物たちを前に、ナポレオンとスクィラーは「風車の戦いだ」と鼓舞し、その裏で敵であるはずの人間たちと取引を始めた。
厳しい冬が訪れ、農場での収穫は減る一方。動物たちへの配給は日に日に減っていった。農場一の働き者ボクサーが倒れ、ナポレオンは、医者と偽り屠殺業者を呼んだ。そうとは知らずボクサーに見舞いの言葉をかける動物たちに、ベンジャミンが始めて声を上げた。
「お前さんたちがハエだ! わしら年寄りや弱いものにたかるハエだ!」
もはや豚は人間だった。人間と同じ格好をし、二本足で歩いた。仲間であるはずの動物たちの上に君臨していた。
しかし動物たちは、ナポレオンの駆り立てた猟犬にも、振り上げられた鞭にも怯まず立ち向かった。
俺たちには夢がある
弱いものも 強いものも
賢いものも 愚かなものも
みんなが自由に 大地を駈ける夢さ
ミューリエルが唄い出した「大地を駈ける」に、他の動物たちも続く。
そしてついに、何度も書き換えられた動物農場七戒の看板を倒した。
すべて終わった静寂の中、動物農場に舞い込んだ一陣の風によって風車が回り始めた。