作品紹介Performing Arts

人形劇団クラルテは、乳幼児〜大人向けまで、1人で演じる人形劇〜ホールで上演する大型人形劇まで、様々なタイプの人形劇作品を製作・上演しています。会場条件や観劇人数、対象年齢等により上演できる作品が異なりますので、それぞれの作品ページで詳細をご確認くださいますようお願い致します。

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※各作品ページからパンフレットのダウンロードも可能です。
06-6685-5601 06-6686-3461
※お電話でのご対応は、平日・土曜日10時〜17時30分(日・祝休み)とさせていただきます。
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ファミリー向け作品 大型人形劇
〔会場|公共ホールなどの舞台、対象|幼児〜小学校低学年〕



ペンギンたんけんたい


エンヤラどっこい! ぼくらはペンギンたんけんたい!

なんきょくがちきゅうのいちばん下だったら、どうしてペンギンは落ちないの?
どうして?? いったいちきゅうはどうなっているの??
それを調べに、ペンギンたんけんたいしゅっぱーつ!
緑の島についたけど、さいしょにライオン!次にニシキヘビ!その次にワニ!に出くわして、
とうとう最後は「グワァーオ!!」
おそろしくって、とうてい名前なんて言えないよ!ブルブル・・・


スタッフ
原作/斎藤洋(講談社刊) 脚色/吉田清治 演出/三木孝信 人形美術/永島梨枝子 舞台美術/松原康弘 音楽/一ノ瀬季生 舞台監督/梶川唱太 照明/永山康英 制作/古賀恵子

出演者
三木孝信 永島梨枝子 西島加寿子 福永朋子 鶴巻靖子 松原康弘 梶川唱太 奥洞昇 斎藤裕子 竹内佑子 荒木千尋


演出のことば
楽しい「たんけん」を願って 三木孝信
 こどもたちは「たんけんごっこ」が好きです。
 遊びなれたいつもの場所と違う、ちょっと遠い所へ行ってみる。穴があれば入りたくなる。高い所があればのぼりたくなる。川があれば入りたくなる。
 もしもそこが初めての所なら、知らない所なら、ちょっと恐くてドキドキする。だけどこどもたちは、何故か恐い所が大好きだ。胸がドキドキしていても足と身体は前へ行く。スリルがあって楽しくてどんどん進む。
 「たんけんごっこ」がほかの遊びと違うのは、この恐さやスリル、危険を感じるところです。こどもたちは緊張が走るその時間を真剣に遊びます。新しく見つけた自分の場所に心は満たされます。
 たんけんして未知の冒険に足をふみ入れたとき、少し自分が大きくなったように思える。勇気を出してたんけんした後の達成感がとても気持ちいい。「たんけんごっこ」はこどもの好奇心とエネルギーを満足させてくれます。そして自信も持たせてくれます。
 ペンギンさんたちはたんけんに出かけます。「エンヤラ、ドッコイ!」かけ声合わせてみんなで出かけます。ペンギンさんたちは南の島でいったいどんな楽しいたんけんをするでしょう?
 こどもを取り巻く世の中が不安に満ちている今だからこそ、こどもたちが安心して遊べる「たんけんごっこ」ができる社会を願って「ペンギンたんけんたい」を上演することが大切だと思いました。
 さあ、みなさん!ペンギンさんたちといっしょにカヌーに乗って楽しいたんけんに出かけましょう。


原作者から
「あなたも、エンヤラ、ドッコイ!エンヤラ、ドッコイ!」  斉藤 洋
 エンヤラ、ドッコイ!
ペンギンたんけんたいが本からとびだして、人形劇になりました。
人形劇を見おわって、「おもしろかったね。」といっていただければ、わたしとしては、それで満足です。
 でも、もしかすると、おもしろがるだけではなく、「ペンギンたんけんたいは、なんのために、あんなことをしたんだろう?」
と、ふしぎにおもう人もいるかもしれません。じつをいうと、そういうふうにふしぎがってくれる人がいっぱいいると、わたしはうれしいです。
 でも、ふしぎがるのはあとにして、まずはともかく、ペンギンたんけんたいのなかまになったつもりになって、人形劇をおたのしみください。



11ぴきのねこどろんこ


11ぴきのねこが恐竜の子と友達に!?



スタッフ
原作/馬場のぼる(こぐま社刊) 企画・原案/松本則子 上演台本/松本則子・クラルテ「11ぴきのねこどろんこ」アンサンブル 演出/藤田光平 人形美術/永島梨枝子 舞台美術/西島加寿子 音楽一ノ瀬季生 照明/永山康英 舞台監督/宮本敦 制作/松澤美保・佐藤結

出演者
三木孝信 奥村佳子 永島梨枝子 鶴巻靖子 松原康弘 奥洞昇 宮本敦 斎藤裕子 荒木千尋 茨木新平 曽我千尋


演出のことば
楽しい「たんけん」を願って 三木孝信
 今、自然の中での集団遊び、というものが見直されてきています。こどもたちの周りの自然な環境が減少し、一人でも遊べることが多くなった来ている今、とても大事な動きだと思います。
 集団遊びの達人といえば、そう「11ぴきのねこ」です。いつも一緒で、いつも仲良し。好奇心旺盛、欲しいものには11ぴきの知恵とチームワークで突き進み、一方、嫌なものにはとことん知らんぷり。ただ、ともだちは・・・?
 人形劇「11ぴきのねこどろんこ」では、ねこたちは恐竜の子ジャブと出会い、そして最後にはともだちになっています。ジャブはどろんこ遊びが大好き。ところが、11ぴきのねこはどろんこが大嫌い。この二者が、どうしてともだちになっていくのか。是非ご覧いただきたいところです。
 さて、「どろんこ遊び」のわたし自身の思い出は、最初は恐る恐る、やがて泥山を作り、トンネルを掘り、反対側から掘っていた別の子の手を握り締めた瞬間、何故か笑いが止まらなかった、というものです。その時の水・土・泥の感覚、日差しの温もり、涼しい風、友人の泥だらけの手や顔が、時間を超えて一気に感覚として蘇ってきます。自然や友人との一体感、心地よい感覚の記憶。この心地よさの感覚は、いわば、安心感でしょうか。人が生きていく上で、とても大事な感覚だと思います。
 人形劇「11ぴきのねこどろんこ」は、どろんこ嫌いの11ぴきのねこが「どろんこ遊び」を出来るようになるお話でもあります。劇場にお越しいただいた皆様には、ジャブに一喜一憂、振り回されながらも、ジャブや「どろんこ」を受け入れていく11ぴきの姿に、そして大いなる大地と戯れ、力強く、おおらかに成長していくジャブの姿に惜しみない拍手を送っていただけたら、と願います。


原作者から
みんな仲良くなれそうな絵本 ~出版当時の言葉~  馬場のぼる
「11ぴきのねこ」シリーズの第6作目が、やっと出来上がりました。前作から7年目、世にも超のろのろシリーズです。自慢になることかどうかわかりませんが、最初の作品を発表したのが1967年ですから、まもなく30年になります。ほそぼそながら、よく続いたものだと思います。これもみな、みなさんのご声援のたまものであります。
 いま、11ぴきのねこたちの行動をふりかえってみて、なんとまあ、よくないねこたちを描いたものだ、とわれながら驚いております。先ず、約束を破って大きなさかなを食べてしまったり、あほうどりのまるやきを夢見たり、ぶたのおじさんの家を取りあげたり、とまあ、いけないことの数かず。世の識者からお叱りを受けることばかりやっています。
 しかし、そのようなことを平気で続けて来られましたのも、すべてみなさんの熱烈なる応援があったればこそでありまして、考えてみれば、じつにこれはフシギな現象であります。
さて、このたびの11ぴきは、なぜか山暮らし。これまでの行いを反省したのか、とても良いねこです。ある日ねこたちは、山中で恐竜の子と出遭い、友だちになりますが、双方の間に少し考え方のズレがあり、そこから問題が生じます。私はこれを描きながら、これは、そっくり人間世界に当てはまるのではないか、と思いました。世界中の人びとが、お互いの生き方の違いを認め合うことが出来れば、民族紛争も戦争も起こらないのになあ。相手の立場を思いやり、少しずつガマンして譲り合い、慾望をおさえることが出来ればなあ。とまあ、そういうのは、むずかしいですなあ。


『11ぴきのねこ どろんこ』誕生! ~出版当時を振り返って~ 佐藤英和(こぐま社相談役)
 6冊目の『11ぴきのねこどろんこ』は前作から7年、『11ぴきのねこ』が出てからは29年が経っていました。今度は恐竜の子、ジャブが相手です。ねこたちとジャブとの間に交流が生まれ、お互いを喜ばそうとしますが、なかなかうまくいきません。友情というものは、そういうところがあるものです。良かれと思っても、相手には通じないこともある。ただ、この絵本は今までの本と少し違っておりました。今までの5冊のような結末と違って、初めて大団円で終わるのです。
 私はこの絵本を見た時に「あー、11ぴきのねこはこれでおしまいだ」と思いました。先生は絵本が出た時に、私に「やっと出ました6冊目。みんなみんな うれしいうれしい!!」というサインをして下さいました。二人はもちろん“これがおしまいだ”とはひと言も、ついにいいませんでした。「先生、次ですね、お願いします」と申し上げましたら「やりましょう!」とおっしゃった。けれども、私も先生も胸の内では「あー、これで11ぴきは完結した」と思いました。
 「11ぴきのねこ」シリーズは、6冊出るまでに、なんと29年かかりました。全6冊合わせて、現在391万部を超えています。そして、6冊通して見ると、ちゃんと11ぴきのねこたちが、時とともに成長していることに気づきます。『11ぴきのねこどろんこ』にいたっては、子どもだったジャブはおとなになり、自分の子どもまで生んでいる。それを見守るねこたちも、はっきり成長しています。私は思うのです、子どもたちというものは、毎日毎日素晴らしい成長を遂げている。だからこそ、子どもたちはこのシリーズに共感を持ち、楽しいと思うのではないでしょうか。
 「11ぴきのねこ」シリーズは、その1冊1冊にドラマがあるように、6冊が生まれてきたことにもまたドラマがある。このシリーズで、先生と私は作家と編集者としてまっとうしたという思いがあります。



11ぴきのねことあほうどり


 11ぴきのねこは、みんなのらねこ。そして、いつもはらぺこ。 ある日、11ぴきのねこは広いジャガイモ畑を見つけます。そのまま食べてはおいしくないので、コロッケを作ることにしました。 ジャガイモをあらって、ゆでて、つぶして、パンこをつけてあぶらであげると、おいしいコロッケの完成! 「こんなにおいしいコロッケ、われわれだけで食べてはもったいない!」11ぴきのねこは、コロッケ屋をはじめます。お客さんが次々とやって来て、お店は大はんじょう。でも、夕方になるとお客さんはぱったり来なくなり、残ったコロッケを自分たちで食べることに。 「もう、コロッケはいりません!」「鳥の丸焼きが食べたいねぇ〜。」と、そこへ、1羽の旅のあほうどりがコロッケを買いにやってきました。 「こんなにすてきなコロッケを兄弟たちにも食べさせてやりたい。」島には10羽の兄弟が待っているので、コロッケを作りに来て欲しいと言います。 11羽のあほうどりを丸焼きにして食べてしまおうと考えた11ぴきのねこは、気球に乗って、あほうどりの島へと向かいます。しかし、そこで待っていたのは・・・。


原作/馬場のぼる(こぐま社刊) 脚色/松本則子 演出/藤田光平 人形美術/永島梨枝子 舞台美術/西島加寿子 音楽/一ノ瀬季生 照明/永山康英 舞台監督/奥洞昇 制作/松澤美保

出演者
三木孝信 菅賢吉 鶴巻靖子 梶川唱太 杉山芳未 隅田芳郎 奥洞昇 斎藤裕子 荒木千尋 茨木新平 曽我千尋


演出のことば
「心いっぱい楽しんで」 藤田光平
 こどもたちの前で人形劇をしている時、演じるわたしたちの周りの空気や時間が客席に吸い取られるような感覚になることがあります。一緒にご覧になっていた大人の方に伺うと、こどもたちが「食い入る」ように人形劇を観ていたそうです。こどもたちは、目の前の人形劇を、目や耳から・・・いや身体全体から自分の中に吸収して、何と「食べて」いたのです。そして、こどもたちのこの吸収する力の源にあるのは、欲求、好奇心、夢なのだと思います。「食べたい!」なのです。
 人形劇「11ぴきのねことあほうどり」では、「食べたい!」のエネルギーでいっぱいの11ぴきのねこたちが、舞台狭しと「コロッケ作り」に挑戦し、夢膨らませて「あほうどり」の国を目指します。もちろん、失敗もします。しかし、力を合わせそれを乗り越えるのが、11ぴきのねこたちの大きな魅力なのです。
この人形劇を観て、こどもたちに「もっと観たい!」と思ってもらえたら、と思います。食べることが、こどもたちの成長に欠かせないことであるように・・・。



11ぴきのねこふくろのなか


ニャゴ、ニャゴ、ニャゴ、ニャゴ、ニャーゴ!
11ぴきのねこは、みんなのらねこ。そして、みんななかま。

 ある晴れた日。11ぴきのねこは、だいすきな魚のお弁当をリュックサックにつめて、遠足に出発!
 とらねこたいしょうを先頭に、歌いながら歩くうち、きれいな花畑がありました。見ると、立て札があって「はなをとるな」と、書いてあります。はなをとってみたくなった11ぴきのねこは花畑に飛び込むと、花を1本ずつ頭にかざって、ふたたび遠足に出発しました。
 また歌いながら歩くうち、つり橋がありました。つり橋の途中に、看板があって「きけん!はしをわたるな」と、書いてあります。11ぴきのねこは橋の向うを目指し、勇気を出してわたり始めました。
 無事につり橋をわたった11ぴきのねこは、とても景色のいい、大きな木のある丘に着きました。見ると、立て札があって「木にのぼるな」と、書いてあります。木の上でお弁当を食べたくなった11ぴきのねこは、木に登りました。木の上で食べる魚は、最高!
 すると、風に乗って大きな袋が飛んで落ちてきました。袋には「ふくろにはいるな」と、書いてあります。みんなは中にはいることにしました。こうして11ぴきのねこが袋の中にはいったとき、大きなばけもの、ウヒアハがあらわれ、袋の口をしばってしまいました。ウヒアハは、「11ぴきのねこ、ふくろのなか、ウヒヒ、アハハ」と、笑いながら、袋をかかえて山にある自分のお城に向かいました。
 さあ、ふくろのなかの11ぴきのねこは、このあと、いったいどうなってしまうのでしょうか・・・。


原作/馬場のぼる(こぐま社刊) 脚色/松本則子 演出/高平和子 人形美術/永島梨枝子 舞台美術/西島加寿子 音楽/一ノ瀬季生 照明/永山康英 舞台監督/奥洞昇 制作/古賀恵子

出演者
三木孝信 永島梨枝子 西島加寿子 福永朋子 鶴巻靖子 松原康弘 隅田芳郎 奥洞昇 斎藤裕子 竹内佑子 荒木千尋


演出のことば 藤田光平
日常の煩雑さや喧騒を一時忘れて、こどもたちに目を向け、耳を傾けてみましょう。
現代社会はストレス社会と言われていますが、勿論その中にこどもたちもいます。
わたしたちは過剰にこどもたちを追いたて、追い詰め、要求してはいないでしょうか? また、確かにこどもたちは一部の心無いおとなの悪意に晒されていますが、わたしたちは過剰にこどもたちに恐怖を植えつけ、行動を制限し、拘束してはいないでしょうか? おとなの言い分はいろいろあります。が、言いっ放しでこどもたちの言い分はちゃんと聞いているのでしょうか?
「天気がいいから、ピクニックに行こう!」「けしきのいいところでお弁当を食べよう!」と、“11ぴきのねこ”。
のびのびとした素敵な思いつきです。道々、「とるな」で花をとり、「わたるな」で吊り橋を渡り、「のぼるな」で木に登るところも、わたしたちにも身に覚えのある反応です。“11ぴきのねこ”の言い分が聞こえてくるような気がします。
そうして最高に美味しいお弁当を満喫し、最高の気分を味わった後、一転、半ば墓穴を掘って、ウヒアハの罠にはまり怖い目に遭います。しかし、見事な作戦とチームワークで脱出を果たす“11ぴきのねこ”。様々な体験を通して、また一つ逞しく生きていく力を手に入れたに違いありません。



幼児向け作品 中型人形劇
〔会場|フロアー形式の多目的ホールなど〕



おきゃく、おことわり?


大きなクマと小さなネズミの物語。
 森の家に独りで暮らすクマは、毎朝同じ様に目を覚まし、同じ様に椅子に座り、同じ様にミルクティーを飲みます。
ただただ静かに誰にも邪魔されることなく“キチンと”生活している事が何よりの幸せ。今日もミルクティーを淹れ、そのあまーい匂いに満足気です。
 そこへミルクティーのあまーい匂いに誘われて、一匹のネズミがやって来ました。このネズミは何にでも興味津々、好奇心でいっぱい。ネズミはクマの家の扉をノックします。が、大事なお茶の時間を邪魔されて、クマは強く追い返します。
   「おきゃく、おことわり!」
 それでもネズミはあきらめません。追い返されても追い返されても扉をノックし続けて、とうとうクマも根負けしてネズミにミルクティーを淹れるのですが・・・。
 大きさも性格も“全く逆”の二人のおかしなお茶会が始まります。さてさて、どうなることやら・・・。

スタッフ
原作/『おきゃく、おことわり?』『おとまり、おことわり?』ボニー・ベッカー文、ケイディ・マクドナルド・デントン絵、横山和江訳(岩崎書店刊) 企画/鶴巻靖子 脚色/宮本敦 演出/奥洞昇 美術/永島梨枝子 音楽/一ノ瀬季生 制作/古賀恵子

出演者 鶴巻靖子 茨木新平


演出のことば 奥洞昇
 この人形劇は「おきゃく、おことわり?」と「おとまり、おことわり?」の2冊の絵本から創作しました。どちらも、クマのところへネズミが訪ねて来るお話です。絵本ではネズミが訪ねて来る事で、自身の生活リズムを崩され、慌てふためきながらも“新たな幸せ”を見つけるクマが描かれています。
 では、そんな風にクマを導くネズミとは一体どんな“人間”なんだろう?そんな興味にかられ、人形劇ではネズミのドラマも膨らませました。クマに追い出されても追い出されても、決してあきらめないネズミ。その強さが少しずつ、クマの心を動かします。
 自分をあきらめない強さと、相手をあきらめない強さ、それは人間をあきらめない強さです。
 現代、人間関係が希薄だと感じる事は多々あります。相手は自分を受け入れてくれるだろうか?と怖れる気持ちが過度に働いてしまう。それは、子どもたちの友達関係の中にまでも見られます。
 あきらめずドアをノックし続ける小さなネズミと、心動かされる大きなクマ、二人だけの人形劇に“人間をあきらめない強さ”を込めて届けたいと思います。



おーいペンギンさーん -大阪弁のナンセンスな人形劇-


お風呂屋さんにひとりで行った太郎くん。
  お風呂から上がってみると、
「あっ!ぼくの服がない!?」
  残っていたのは なんとペンギンの服でした。
  太郎くんはすぐに追いかけた。
『おーい ペンギンさーん』
  舞台はお風呂屋さんから南極へ
 太郎くんはペンギンのペンタロウを追っていく途中、
 ワニやあほうどり 最後には くじらに助けられ、
  やっとのことで南極についてみると・・・。

スタッフ
原作/岡田よしたか(福音館書店刊) 脚色/松本則子 演出/西村和子 美術/永島梨枝子 音楽/一ノ瀬季生  制作/古賀恵子

出演者 奥洞昇 齋藤裕子 竹内佑子


脚色のことば
「ほんまにあったらええのになあ」 松本則子
 一人でお風呂屋に行ってみようかなと思って、思い切ってお父さんに言ったら許してくれた。お母さんも「行ってもいい」と言ってくれた。「服、まちがえんと帰っといでや」と言われ、「間違えるわけないやん」と胸を張って出かけてきた。そやのに、風呂から上がったら『僕の服がない。』
 これでは帰られへん。『ペンギンの子がまちがって着て帰った』と番台のおばちゃんが言うた。なにがなんでも南極まで行って、服を取り返さなあかん。走りだす太郎君。
 私は思わずエールをおくります。そやで「ここで、シオシオと帰ったら、二度と親から信用してもらわれへんで」と。
 泣きもせんとまっしぐらに走る太郎君。ほらみてみ、世間も捨てたもんやないやろ、手伝ってくれる大人はようさん出てくるやんか。
 そやけど、手伝ってくれる大人って、みんなけったいな人ばかりやな。けったいやけど、あったこうて、ええ人やな。
 何かに向かってひたすら走る。人に助けられながら、自分の目的を達成する。体を動かして何かをすることが苦手な社会。人と人との心の伝達が会話という形を取りにくい社会。そんな社会で暮らすしかない子ども達に、「こんなことあったら面白いとおもわへんか」「こんなことあったらやれへんか」と子ども達に呼びかけながら創りました。


演出のことば 西村和子
 子どもたちは誰しもなにがしかの誇りを持って生きている。それは大人から見ればささやかでとるに足りないことでも、3歳は3歳の、5歳は5歳の、小学生になったら小学生としての輝かしい誇りなのだ。それを守ることは日々の成長であり生きている証。生きる力だと思う。
 太郎君が、心配するお父ちゃんを尻目に初めて「一人で風呂屋に行って間違わずに自分の服を着て帰ってくる」と自信満々、勇んで風呂屋にでかけた、ただ、その行為をまっとうするために、「おーいペンギンさーん」とペンギンを追いかけて南極まで突っ走ることになる。そんな一途な太郎君につい巻きこまれて力を貸してくれるユニークな大人たち。上からの目線の押し付けがましいよけいなおせっかいの大人は多いけど、太郎君の気持ちを受け止めてまともに向き合い一緒に行動できる大人たち。大人もまんざら捨てたものじゃないと、こどもたちに思ってもらえる世の中でありたい。
 「一人でお風呂に行く」と張り切って出かけて、「自分の服を着て我が家に帰ってくる」まで、ずいぶんながーいお風呂だったけど、そのながーい間に太郎君が獲得したものは計り知れない。出逢いとわかれも含めて体験したこと総て宝物だ。誇らしげな満足感でいっぱいで、ちょっと大人になったような気さえする。
 お父ちゃんとお母ちゃんにかこまれて食べる南極みやげのかき氷の味は、かくべつ冷やっこいけど、このうえなく暖かい。



しろくまくんどこへ?


 ラララ ラルス 真っ白しろくまくん
 氷の小山にのって どこどこへ行くの
 青い青い海 たったひとりぼっち♪

 ラルスは雪と氷におおわれた真っ白い北極に住むしろくまの子。ある日ラルスは氷ごと大海原に流されてしまいます。人間の船に捕まり、そこで茶色いくまの子レアと出会います。ラルスとレアが船から逃げ出すと今度は海が荒れ、波に飲みこまれ、流れ着いた先は鮮やかな花やおいしいバナナのある、色いっぱいのジャングル。ラルスは初めて見る世界に胸はずませます。カバのヒッポやカメレオンなど、大人の動物たちがラルスたちを助けてくれます。そして帰る家がなくひとりぼっちだったレアにラルスは「ぼくたち友達だよ。 北極においでよ。」と言い、最後には無事に北極のお父さんお母さんのもとに帰ることができるのです。
 子ども達が新しいことを発見していく喜び、友達が出来た時の喜び、その体験一つ一つを積み重ねてたくましく成長していく姿を描いた作品です。

スタッフ
原作/ハンス・ド・ビア 脚色/東口次登 演出/西村和子 美術/永島梨枝子 音楽/一ノ瀬季生 制作/松澤美保

出演者 高平和子 永島梨枝子 鶴巻靖子 松原康弘 宮本敦


演出のことば
「厚い信頼は生きる力に」 西村和子
「知らない人に声をかけられたらすぐ逃げる。連れて行かれそうになったら大声を出す」身を守るには仕方ないことかもしれませんが、こんな事を子どもたちに教えなければならないのは、なんとも悲しく腹立たしい世の中です。
 主人公のラルスは突然ひとりぼっちで世の中に放り出されます。すべてが驚きと恐怖の世界。そこで出会った大人たちは、ラルスを助け、世界を大きく広げてくれました。お互いが信じ合い思いやる心、信頼から生まれたものは大人も子どもも超えて、深い友情を結ぶ事が出来るものです。ラルスは出逢いの中でどれほどたくさんのことを獲得したことでしょう。信頼は大きな自信になり生きる力になります。初めての知らない世界をラルスと共に冒険の旅をしましょう。
 つらいことも悲しいこともあるけれど、魅力いっぱいのすてきな友だちとの出逢いが待っています。
 子どもたちが安心して自由に冒険できる信頼の世の中を取り戻すのは大人の責任なのですが。

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