ものがたり
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第一幕 南京城内 大明第十七代の帝(みかど)思宗烈は、太子をみごもっている最愛の后華清夫人を寄こせという韃靼王の無理難題をはねつける。韃靼と通じている帝の寵臣李蹈天は、韃靼の言い分をはねつける証として自分の左眼をくりぬく。李蹈天の甘言にだまされ、帝は忠臣呉三桂の諌言を却ける。 栴檀皇女の館 ![]() 千里が原・獅子ヶ城 和藤内の異母姉、錦祥女の夫、獅子ヶ城の主、五常軍甘輝を味方にひき入れるために、向かう途中、千里ヶ原で、李蹈天の催す虎狩りに出合った和藤内は、猛虎を従え、勢子達を家来にする。獅子ヶ城の城外に着いた一官達は、韃靼王の許へ伺候している夫の留守を守る娘の錦祥女にとりなしを頼む。二才の時に別れた父に再会して喜ぶ錦祥女、しかし掟は厳しく、母は自ら縄を受けて入城を許される。錦祥女は一官達に、望み叶ぅ時は白粉を、叶わぬ時は紅粉を堀に流すと約束する。 甘輝は元、大明の臣下、和藤内に味方しようと思うが、韃靼王に討手の大将を命じられ身動き出来ず、母との話し合いは物分れになる。錦祥女が流した紅粉を見て、和藤内は城内へ躍り入るが、紅粉の水上は、自らの胸を刺した錦祥女であった。妻の覚悟の前に、甘輝は、和藤内と共に大明再興のために戦うことを誓う。二人の気をゆるませぬためと、和藤内の母は、錦祥女の刀で自害、韃靼王を討って本望遂げよと詞を遺して絶える。 第二幕 肥前松浦 日本にのこされた小むつは、一人、ひそかに剣を学び、栴檀皇女を伴って唐土へ渡ろうとする。 道行 住吉明神のつかわされた大海童子の導きで、二人は、南方の美しい島々を賞でながら、松江(ずんこう)へ。 九仙山 太子を護って山中へ逃れた呉三桂は、山上で、碁に興ずる二老翁に会う。二人は九仙山下に、今は国性爺となった和藤内軍の戦いぶりを見せる。韃靼軍を次々打ち破る国性爺軍の強さを、目のあたりに見ている内に、四季は過ぎ、五年の月日が流れていく。二老翁は明の祖、高宗と劉伯温であった。一官、小むつ、栴檀皇女と再会した呉三桂は、韃靼王の軍勢を滅ぼし国性爺の許へ向かう。 竜馬ヶ原・南京城内 父一官、覚悟の先駆けで、和藤内達は奮起して南京城を攻めるが、韃靼王、李蹈天は一官を人質に、降伏を迫まる。絶対絶命の国性爺を押えつけ、首をさしあげるから助命をと、甘輝、呉三桂は懇願し、油断させ、韃靼王達をしばりあげ、李蹈天を成敗する。戦勝に清く国性爺軍、しかし・・・。 |